こんにちは。花祭窯おかみ・ふじゆりです。
皆さま新年の1冊目はもう手に取りましたか?本日は「ふじゆり的読書ベスト5」2022年下半期(7~12月)をご紹介いたします。
ほんとうは年間ベスト5を選ぶ予定にしていましたが、上位に残したい本がたくさんになり、半年毎に分けました。上半期ベスト5は、NatuRiseウェブ上でご覧いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね♪
第5位『エリザベス女王 史上最長・最強のイギリス君主』(中公新書)君塚直隆 著
女王在位70年の祝典を経て、昨年九月に崩御なさったエリザベス女王の偉大な軌跡が綴られた本。近現代史の視点からも、保存版の本です。
第4位『呑み込まれた男』(東京創元社)エドワード・ケアリー 著/古屋美登里 訳
誰もが知っている「ピノキオ」物語のスピンオフ版。ピノキオのお父さん=ジュゼッペ爺さんの、知らざれる格闘と葛藤の物語。
第3位『うえから京都』(角川春樹事務所)篠友子 著
「日本は今のままでいいとお思いですか?」のセリフが刺さる、痛快エンターテインメント。著者の篠友子さんのデビュー作。
第2位『緋の河』『孤蝶の城』(新潮社)桜木紫乃 著
ニューハーフでタレントのカルーセル麻紀さんをモデルとした小説。モデルその人の壮絶な人生と、小説家の想像力が爆発した凄みのある本。
第1位『あの図書館の彼女たち』(東京創元社)ジャネット・スケスリン・チャールズ 著/高山祥子 訳
ナチス占領下のパリで開館し続け、本と図書館を支えた人々の物語。実話をもとにした、登場人物への敬意あふれる小説。
小説が上位に集まったことに、我ながらちょっと驚きました。なかでも第2位の『緋の河』『孤蝶の城』、第1位の『あの図書館の彼女たち』は、実話・実在する人物をベースにしています。
何に感銘を受けるかは、そのときの自分自身の内側を映し出しますね。2023年もたくさんの良書と出会えますように!
<日常の禅語>見色明心(けんしきみょうしん)
「聞声悟道(もんしょうごどう) 見色明心(けんしきみょうしん)」とつながっています。自然の音を聞いて真実の道を悟り、物質(もの)を見て我が心を明らかにする、というほどの意味だそうです。
仏教で「色(しき)」は「物質」をあらわします。物質を表すのではありますが、そうしたモノは空(くう)すなわち実体のないもの(色即是空)、とも説いています。そう考えると「色を見る」というのは、実体のないものを見る、ということになり、あれ?言ってること矛盾していないかしら?などと、凡人の私は考えるのではありますが。
ただ「見色明心」を素直に文字通り考えると、「もの」を見ることで自分の心が明らかになるというのは、あながち理解できないことではありません。
それどころか「そうそう!その通り!」と声を大にしたいところです。というのも、美術鑑賞講座を開催していていつも思うのは、同じ絵画を同じ場所で同じ時間に見ていても、そこから受け取ること感じることが鑑賞者一人一人異なる、という事実があるから。絵画を見るということは、絵画を見ることを通して、自分のなかにあるものを見ることにつながっていると、毎回気付かされるのです。
見色明心な美術鑑賞講座、そのうち皆さんとご一緒したいものですね。
花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)
「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。
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