こんにちは。花祭窯おかみ・ふじゆりです。
例年七月になると、わたしの住んでいる地域は「山笠(やまがさ)」一色になります。山笠と言えば福岡・博多。しめこみ(ふんどし)姿の男たちが山車をかついで町を走り回る映像を見たことのある方もあるのではないでしょうか。その流れを汲んだお祭りです。地域名を冠して「津屋崎祇園山笠(つやざきぎおんやまがさ)」と呼ばれています。今年の津屋崎祇園山笠は、一年先への延期が決まりました。
もともと「疫病除去」の祈願祭として始まった「博多祇園山笠」の流れを持つ「津屋崎祇園山笠」。博多の山笠の成り立ちには諸説あるようですが、1241年に国師が疫病除去を願って祈祷水を撒いたのがはじまりとする説が有力です。それが、災厄除去の祇園信仰と結びついて山笠神事として発展したものが、博多祇園山笠。そこから470年ほど遅れて1714年に「無病息災祈願」としてはじまったのが、津屋崎祇園山笠です。山車をかついで町を駆け巡ることで、そこに住む人々をお祓いして回り、最後は山車を神社に奉納します。このような背景をもつお祭りですから、無病息災を祈念し続ける意味も込めて、中止ではなく延期となっています。
皆さんがお住まいの地域でも、今年は中止になったり延期になっている夏祭りがあるかもしれませんね。長い時間を経て「楽しいお祭り」になっているものも、そのきっかけは困難克服の祈願であったというものが少なくありません。この機会に、お住まいの地域に縁の深いお祭りの起源を調べてみるのも、おすすめです。
7月の花遊び:葉っぱだけで生ける
七夕にちなんで笹のような葉っぱを主役に。わたしは「葉っぱだけで生ける」のも好きです。花がなくても大丈夫。姿の美しい葉は、それだけで決まります。そういうふうに見方を変えると、形も色も様々に魅力的な葉っぱがあることに気づきます。観葉植物同様、家のなかに緑があるとホッとするものです。
花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)
「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。
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