その2「本来無一物」

こんにちは、花祭窯・内儀(おかみ)・ふじゆりです。

突然ですが、皆さんは「自分の味方になってくれる言葉」をお持ちでしょうか。

「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」。今、わたしが一番頼りにしている言葉です。

初めてこの言葉に出会ったのは、3年ほど前。あるお寺さんにお伺いしたとき、大広間の床の間にかかっていたのが、この言葉でした。

そのときは言葉の意味を深く考えるでもなく、ただその文字の力強さと並びの美しさに惹かれて、手帳に書き留めたのでした。

その半年ほどのち、再びこの言葉に出会いました。
今度は意味をたずねてみると、「日日是好日」同様これまた禅語のひとつだということがわかりました。

「人は本来なにも持たずにこの世に生まれてきた」というほどの意味だそうです。
これを聞いて、その時わたしのなかにあったモヤモヤがスーッと解けていくような気がしました。

それ以来、迷いが生じたときや、いつの間にか肩に力が入っていることに気づいたときは、この言葉に立ち返ることにしています。

なにか難しく思えることを決めなければならないときも、「もともと私は何も持っていないのだ」と思えば、気持ちが楽になるのです。

自分を楽にしてくれる言葉は、気持ちの逃げ場にもなり、日々を暮らしていくうえで強い味方になると実感する今日この頃です。

ふじゆりさんのコラム「日日是好日」好評連載中。過去のコラムはこちら


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

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