食物繊維をひと言でいうと「人間の消化酵素では消化されない成分」のことです。糖質や、脂質、たんぱく質などはほとんどが吸収されますが、食物繊維は消化・吸収されないまま大腸までとどき、便の材料となるのです。便秘解消には、食物繊維がいいといわれるのはこのためなんですね。
消化のよい食べ物は腸の働きを弱める
便秘が慢性化しているひとたちの多くは、消化のよいものばかり食べています。ジャンクフードや加工品です。消化の良いものばかり食べていると腸のはたらきが弱ってしまいます。
便秘を解消するためには、腸を動かす食べものを積極的にとらなれけばなりません。それが食物繊維です。便秘とさよならするには、まずは、十分に食物繊維をとること。食物繊維は腸の運動をたかめ、便の量を増やして排便を促します。
便秘解消や成人病予防に効果
食物繊維の役割が発見されたのは、そんな昔の話ではありません。外国はもちろん、日本でも「食べものカス」とよばれ、むしろジャマ者扱いされてきたのです。そんな食物繊維が注目されだしたのは戦後のこと。
アフリカで医療活動していたイギリス人医師らが、アメリカでは成人病が多いのに対し、アフリカではほとんど見られないことに気がついたのです。そして食物繊維の研究がはじまりました。今では、便秘解消や成人病予防に効果がある食物繊維としてかなり注目を浴びています。
食物繊維の不足が便秘をまねく
食物繊維は、消化吸収されない成分なので、そのまま大腸におくられて便の材料になります。だから、食物繊維が不足すると、便の材料が作られず当然便秘になります。食事の量を極端に減らしている若い女性に便秘が多いのは、便が少ないためと考えられますね。
また野菜をあまり食べないひとは便の量が少ないのが特徴です。便が長く腸内にとどまってしまうのです。便秘解消するためには、毎日続けて食物繊維をとることが大切ですよ。
食物繊維の種類
ひと口に食物繊維といってもいろいろありますが、大きく分けると、水溶性と不溶性の2種類に分けられます。それぞれ効果がちがうので、便秘のタイプによって、使い分けることが大切なんですよ。
- 水溶性食物繊維は、こんにゃくや海そうにふくまれる水に溶ける繊維です。とくに善玉菌を増やすはたらきがあります。
- 不溶性食物繊維は、水に溶けないタイプの食物繊維です。大腸のなかで水分を吸収し、便の量を増やします。
食物繊維で美人に?
食物繊維は女性を内側から美人にしてくれます。食物繊維は、腸内の便や有害物質、脂肪、コレステロールをからめとり排出するはたらきがあります。とくにその効果が高いのが水溶性食物繊維です。
事実、腸が汚れているのに、お肌だけキレイなままではいられません。腸のヨゴレはお肌のヨゴレ。お肌のきめを台無しにするのは悪玉菌のしわざです。
外側からいくらお手入れをしても、腸のなかで有害物質を作り続けているままではキレイになれません。腸をきれいにすることから本物の美容ははじまるんですよ。
食物繊維の非常識
食物繊維の情報は巷ににあふれていますが、情報が多すぎていったい何を信じていいものやら?ここでは、食物繊維の情報を整理しましょうね。
- 質問1)食物繊維はさつまいもやゴボウのスジのような形をしている
- 正解:いいえ
食物繊維はスジばかりではありません。水に溶ける食物繊維もあるんですよ。便秘解消はもちろん、そのはたらきが注目されているのが、水に溶ける水溶性食物繊維です。 - 質問2)食物繊維があるのは、植物だけ?
- 正解:いいえ
食物繊維は野菜、豆などの植物だけでなく、カニやエビにも含まれています。 - 質問3)果物にも食物繊維はある?
- 正解:はい
果物には、水に溶ける水溶性食物繊維がたっぷり含まれいます。とくに、リンゴやバナナに多いので、便秘が気になる方は積極的にたべましょう!
食物繊維の賢い選び方
食物繊維の効果は何と言っても便秘を解消してくれることです。
- 不溶性食物繊維は、便の量をふやします。
- 水溶性食物繊維は、善玉菌のエサになります。
食物繊維には不溶性と水溶性の2種類がありますが、便秘解消には断然、水溶性食物繊維がおすすめです。それでは下の表を見てください。
不溶性食物繊維 | 水溶性食物繊維 | |
反応しないタイプ (直腸性便秘) | ○ | ○ |
腸のはたらきが弱い (女性に多い便秘) | △ | ○ |
腸が敏感になっているタイプ (けいれん性便秘) | × | ◎ |
なぜ、△なのでしょうか?腸のはたらきが弱って便秘になっているかたには、不溶性の食物繊維をとるとかえっていけないのです。腸のはたらきが弱って、便がたまっているときは、いわば、便の出口にフタをしている状態。
そんな状態で、便を大量につくる不溶性の食物繊維をとるとどうなるでしょう? よけいにおなかが張って苦しくなります。腸のはたらきが弱ってるときは、キャベツやゴボウなどのかたい食物繊維ではなく、こんにゃく・きのこなどの水溶性しょくもつせんいをとることが大切なんですよ。
× このタイプの便秘には刺激が強すぎて、かえって逆効果。刺激をあたえない水溶性食物繊維で便秘を解消するのがいいでしょう。
不溶性食物繊維はとりかたに色々と制限がありますが、それに比べて水溶性の食物繊維はオールマイティーに活躍してくれます。自分がどの便秘のタイプかわからない場合はとてもありがたい存在ですね。
水溶性食物繊維のさらにスゴイ!はたらき
- コレステロールの吸収をおさえる!
- 血糖値の上昇をおさえ、糖尿病の予防や治療にも役立つ!
- ダイエットにも有効!